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【Yesterday Is History, Tomorrow Is a Mystery】vol.04 トラックメーカー・Mori Zentaroによるコラム
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2020.06.02
雑記 2020.06.02
世の中が非常に混沌としていますが、皆さま如何お過ごしでしょうか?
毎日、まるでもぐら叩きみたいに、あちこちで様々なことが起こり、芥川龍之介の「藪の中」よろしく、何が本当なのか、にわかには判断し難いほど複雑に、情報や意見が溢れかえっていますね。
こんな状況では、知らず知らずのうちに心や身体に大変な負荷がかかってしまうようなこともざらにあると思います。
くれぐれも無理なさらず、ご自愛ください。
最近「同調圧力」というワードが取り上げられる機会が増えていますが、
日本人の国民性には、何かにつけて「右に倣え」的な枠組みに自分や周囲の状況を押し込めたがる傾向が強くあるように思います。
傍観しているような書き方をしましたが、自分は違うなどとは思っておらず、自分の中にもそういう性質があることを感じる時があります。
誹謗中傷行為の横行や、政治や社会に関する批判的な発言、議論を嫌う風潮などにも、「普通」で「まとも」なものから自分がこぼれるのを恐れて、何かの拍子にそこからはみ出たり、浮いたりしたものを懲らしめて安心を得たいというような心理が働いている面もあるのかなと思います。
(それだけではなく、もっと様々な要因があるんでしょうが。)
けどよくよく考えてみると、その「普通」で「まとも」なものってとても曖昧なように思いますし、仮にそういうものが本当にあったとして、その条件をちゃんと満たしてる人なんて果たしているんでしょうか。
もっと誰もが自分本来の在り方を肯定できて、他者にも寛容でいられるような世の中であればいいのになと、僕は思います。
「同調圧力」と同じくらい「多様性」という言葉もよく聞かれるようになって久しいですが、僕たちはそういうことについてもっとよく学んでいく必要があるんだと思います。
話が飛躍しますが、僕の子供時代は平和なもので、思春期に入る前くらいまでは「世の中は完成されたもので、綻びなんかないんだ。人間はすごいんだ。」というような印象が漠然とありました。
けれど歳を重ねるにつれ、そんな幻想は脆くも崩れ去っていき、人間世界がいかに不完全で、暗中模索の途上にあるのかを少しずつ理解していきました。
それにつけても今は殊の外、先の見えづらい時代だと思います。
子供の頃に抱いていた「人間はすごいんだ」という印象は、だいぶ意味合いは変わってしまいましたが、今も僕の中に、複雑な心情として残っています。
良い面を信じて、見識を深めていきたいです。
最初に「雑記」と記した通り、取り留めのない文章になってしまいましたが、最後に一曲紹介して締めさせて頂きます。
Curtis Mayfield / So In Love (1975)
御大Curtis Mayfieldによるとてもシンプルで、心が解きほぐされるような温かみを持ったラブソングですが、この曲が収録されたアルバム「There’s No Place Like America Today」(1975)は主に社会問題をテーマにした、非常にシリアスで緊張感のある作品です。
そんな中でこの曲だけが、屈託なく、穏やかな調子で愛する人への想いを歌っています。
その佇まいに、いつ聴いてもハッとさせられます。
●Profile
Mori Zentaro
2013年頃よりトラックメイカーとして活動を開始。 以降様々なアーティストへのトラック、楽曲提供を行う。 ミュージシャン、フォトグラファー、ペインター等が集う アーティストコレクティブ「Soulflex」に所属。 Soul,R&B,Hiphop,Jazz,Funk,Electronica,Alternative Rock など、あらゆるジャンルから影響を受けた多彩な音楽性を特色とし、2017年に行われた国内最大級のトラックメイク、 ビートメイク、作曲の大会「beat grand prix vol.02」では ファイナリストに選出された。
近年ではSIRUPの他、「香取慎吾」「山本彩」「向井太一」など数多くのアーティストからの楽曲オファーが殺到。現在最も注目されるトラックメーカー・プロデューサーの1人。
Mori Zentaro:
Soulflex: