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『My Mixing Inspiration』vol.2 レコーディングエンジニア:ジェルメン・グレゴリによるミュージックコラム
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2020.06.25
Vol.1ではMIXインスピレーションの基礎について語りましたが、Vol.2ではもっと細かくみていきましょう。
実際どのようなツールを使うのか、どういう風に情報の整理をしていくのかをみていきます。
●オンラインワークショップの世界
Pure Mix, Mix with the Masters, Masterclassなど、海外では当たり前のようにMIXやマスタリング、DTMの教育ビジネスが多数あります。
ある程度の英語力がないと細かいニュアンスを理解するのが難しい時もありますが、どんなサービスでもスクリーンをシェアしていればなんとなくやってることがわかります。
MIXの神様と言っても過言ではないくらいの人達が集まるオンラインプラットフォームです。
本来はフランスにある「La Fabrique」というプロバンスの田舎のど真ん中にある素晴らしいスタジオで行われる、高額の二週間にわたるワークショッププログラムですが、最近では完全にオンライン化しています。
実は僕もプライベートで母国のグランスに帰省の際に、参加したことあります、決して忘れることのできない本当に素晴らしい経験でした。
コンテンツの内容に関しては、基本MIXが多いですが、Al Schmitt、Steve Albini、CLAなどのレコーディングテクニックを見ることもできます。
最近ではマスタリングやプロデューサーのシリーズもあります。
とにかく作り方、ブランディングが素晴らしく、パネリストのレベルは凄まじいものなのでとても勉強になります。
サブスクモデルとVODの選択肢があり、見た目から内容まで史上最高です。
ワークショップの模様
【Pure Mix】
Mix with the Mastersより多少クオリティは下がりますが、MTWMの次にレベルが高いと感じるのがPure Mixです。
MTWMには出ないLuca PretolesiやFab Dupontというエンジニア、プロデユーサーがたくさんいるのでそちらもとても勉強になります。
ただ、個人的に気になるのは、スポンサーで参加してるブランドが全面に出ているため、MTWMみたいなリアル感はあまりないです。
それでも、とても面白いエピソードが山ほどあるので価値はあると思います。
【Groove 3】
Pure MixやMWTMと違ってスターが登場するというよりツールの使い方に集中しているサイトです。
Autotuneをマスターした方、Pro Toolsの達人になりたい方にはおすすめです。
プラグインやソフトを触りながらやるとより良いです。
普段使っているツールの隠れた機能ややり方などを発見することができます。
●Podcastの世界
ラジオにも音響、DTM専門の面白いものがいくつかあります。
こちらも100%英語です。
KUSH AUDIOのCEO&開発者、Gregory ScottによるPodcastです。
悩み相談スタイルで、視聴者の質問をメールで受け付けてそれに答える形です。
カウンセリングみたいな感じですが、とても勉強になります。
たまにゲストが出ていて、 有名な方だと過去にSylvia MassyやJoe Baresiなどが参加していました。
映像ではないので、個人的には運動している時や、電車に乗っている時、自転車で走っている時に聞いています。
さらっと聞いて、このエピソード面白いなと思ったら別日にゆっくりメモを取りながら聞きなおしています。
キャスターの二人がノリノリで、常にジョークを言ったりしているので、大事な情報を整理するのが少し大変な事もありますが、本当に素晴らしい事を言っています。
僕自身も『このプラグインの名前は何?』『この機材のモデルは何?』など何度も聞きなおした事があるぐらいに興味深い内容です。
今、実際に使っているテクニックもそこから取り入れているものがあります。
こちらはもっとマスタリング向けのPodcastですが、僕自身、ミキサーでマスタリングはやらないですが、マスタリングエンジニアの話を聞くとすごく勉強になります。
マスタリングエンジニアはセニアーのミキサーみたいな感じで、ミキサーよりかはいじれる幅は狭いけど、エンドユーザーに一番近いポジションにいるし、ミキサーよりジャンルに偏ったりすることは少ないので、聞いている音楽の幅が広くとても勉強になります。
【どうしたらもっといいミックスができるのか?】【マスタリングエンジニアが困らない音源の作り方はどうすればいいのか?】など、デジタルオーディオのハイレベルでマニアックな話を知りたい方にはおすすめです。
【Tape Op】
Tape Opという有名雑誌のPodcastです。
基本インタビューベースで番組がつくられています。
毎回新しいゲストを招き、トークが繰り広げられています。
Tape Opはとてもマニアックの雑誌なので、質問の内容がとても面白くて、奥深い話が数多くあります。
●Profile
Gregory Germain
フランス生まれ、パリ育ち。
日本の文化に憧れて10代の頃から様々な日本の音楽に触れる。20歳で来日し、レコーディングエンジニアを目指す為、音楽専門学校へ入学。卒業後は、スタジオグリーンバードでアシスタントとして数多くのメジャーアーティスト、バンドの作品に参加。日本語、英語、フランス語の三ヶ国語を巧みに操り、海外アーティストはじめ、海外プロデューサーとのセッションにも参加している。そして、2011年Digz, inc Groupに入社。ポップス、ダンスミュージックを中心にハウスエンジニアとして活躍。レコーディング&ミックスをメインとしながらも、スタジオ管理、メンテナンス、音響デザインまで幅広く担当している。2015年には世界のトップエンジニアだけが参加できる「Mix With the Masters」に世界各国から選ばれたエンジニアの一人として参加。南フランスにある「La Fabrique」というスタジオにてTony Maseratiからトップクラスのミックステクニックを学ぶ。