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【ONKO-TISIN】vol.7 ダンサー YANCHIによるコラム

COLUMN MUSIC

2020.12.31

 

先日久しぶりに映画館で映画を見ました。

アメリカの音楽界に衝撃を与えたインディアン達の映画RUMBLE。

久しぶりにズシんと来た映画でした。

ダンスの事やダンサーに関する音楽をコラムにしていたんですが今回は映画について書いてみようかなと。

 

私の映画館といえばネットになるんですが、時間さえあれば毎日でもみたいくらい映画を見るのが好きなんです。

特にヒューマンドラマや、ノンフィクション、ドキュメンタリーなんかも好きで、ジム・ジャームッシュの世界観が特に好きです。

生っぽい質感やマットなタッチが特に好きでファッションなど細部にも粋な演出で、映画の様な生活をしてみたいと思ってしまう程、魅了されます。

 

 

今回見た映画はドキュメンタリーの様に当時の映像を織り込みながらアメリカの音楽の背景や歴史、

人種問題などをその時代を経験したアーティストや音楽関係者が語っていきます。

話の中では過去のショッキングな事実や、公開されていない秘話、

映画のタイトルでもあるランブルを作ったリンク・レイやネイティブアメリカン達がこれまでに作った音楽やサンプリングされた曲を、

深く関わった人たちと共にシーンごとに紹介されていきます。

 

ドキッとする内容や、ナルホドという納得する内容など、終始心拍数が乱される映画で時には長く時には短く感じる映画でしっかり疲れましたw

 

 

インディアンの歴史は長く深いのでここでは書ききれませんが、アメリカ合衆国の歴史と表裏一体で今でも問題は沢山続いています。

もし興味あればこちらの動画を見てみてください。簡単ですがコロンブスについてアニメで説明しています。

ジェレミー・レナーが主演の「ウインド・リバー」というインディアン映画も繊細にインディアンの置かれた立場と白人の関係性を描いている良い映画です。

 

 

 

黒人差別問題と同様に、インディアンの置かれている状況もさらに繊細な問題です。

2013年から2017年までダコタ州のスタンディングロック・スー族の土地では彼らの命とも言えるミズーリ川の下に石油パイプラインを通す計画があり

抵抗活動のもと4年間戦い続けた結果、ようやく却下にできたりとまだまだ命がけで土地を奪われないように戦っています。

その時の様子をBlack Eyed PeasTabooが曲にしていますので是非ごらんください。

 

 

 

 

話は戻りまして、この映画は音楽がテーマになっているので、様々なジャンルの著名アーティストがランブルという曲でどう影響を受けたかや、

一緒に音楽を奏でた時の事や、リンク・レイとどう関わっていたのかの話が語られます。

特にネイティブアメリカンの血を引いたアーティストの言葉には重みがありました。

迫害を受けながらも音楽活動をしてきたり、インディアンとばれると酷い目にあうので、ばれない様に黒人に変装して暮らしたり。

JAZZで有名なニューオリンズも実はインディアンが多く住む町だったり。中々情報では伝わってこない、現地に暮らしてきた人たちじゃないと分からない経験話が語られていました。昔は普通に生きて行くだけでも死と隣り合わせななのに、さらに音楽活動や好きなことをするって今の私では到底考えられないことです。

 

 

私は、ホピ族にホピネームをもらった兄弟家族がいるんですが、コロナになるまでは半年に一度ホピを訪れ、

一緒に遊んだり、秘密の遺跡に連れて行ってもらったり、トウモロコシを一緒に収穫したり、儀式に連れて行ってもらったり。

ホピで生まれてホピで死んでいく、という事がどういうことなのか?生き方や考え方など学ばせてもらいました。

 

食後に話したりしていると、ホピの歌を歌い始めたりする兄弟がいてあとに続きどんどん歌う人が増えていきます。

なかでもヨッキョという次男は歌声が透き通っていて美しい声の持ち主で、一度聞いてほしいくらいです。

家族で本気で歌っているのを聞くと、大地が揺れている感覚になり鳥肌が立ち自然に涙が出てくるほど心が震えます。

ホピの人達も唄う事が好きなので、インディアンが西洋音楽を始める事は自然の流れかもですね。

 

ホピやズニはリザベーションでナバホはネイションなんですが、このリザベーションの意味は保留地。つまり白人が奪った土地をキープしている状態。

未だに500年土地を奪ったまま保留にしてて、そこにインディアン達を詰め込みとりあえずここに住んでてと強制移住させた土地の事。

リザベーションは白人は住むつもりもなく、植民化に邪魔なインディアンを入れておく土地。それが今も続いている。

白人と早く手を組んだナバホは大きくなりいまではネイション(国家)に匹敵する立場になりました。

ホピはそれでも土地を奪われそうになりましたが、戦わず最後まで話し合いをし今のホピの土地を守り住み続けています。

ホピの土地に行くと今でも当時の教会が壊れた状態で残っています。

ホピが平和の民と言われているのもそういうところかもしれません。

黒人の奴隷解放運動のようにまたインディアンもアメリカ政府と戦い続けていますが、インディアン問題に関してはメディアで報じられることはほぼ

ありませんし、ましてや日本のニュースで聞く事も皆無です。

 

 

映画でも4人組の女性がインディアンの歌を唄うシーンがあるのですが、やはり喉を鳴らしています。

 

 

1958年にギターリストであるリンク・レイが発表した曲ランブルがヒットし、

インスト演奏にも関わらず、ランブルを聴くと攻撃的な気持ちになると言われ、後にテレビやラジオで放送禁止になるほどの影響を与えた曲。

ロック、パンク、ヘヴィメタ、ブルーズ、ジャズ、ヒップホップなどの現代音楽の始まりはリンク・レイから始まったと言われていて、

ランブルのギターを聞いた数々のアーティストはこの曲を聞いて音楽を始めなきゃ!と衝撃を受けたと。

 

ジミ・ヘンドリックスもリンク・レイのギターを真似してギターを弾き始め、

演奏スタイル、音響設定までも真似しリンクレイの様になりたかったようだとジミヘンの親族は話しています。

 

全米中の音楽プロデューサーやエンジニアが、アメリカで誰が1番のアーティストかを尋ねると同じ名前は上がってこないが、

誰が最初にアメリカに音楽を広めたかを聞くと口を揃えてリンク・レイと言い放ち、アメリカの音楽の始まりはランブルからだった。

言わせるアーティストだったと。

 

ただ、インディアンが作った音楽でましてや攻撃性のある音楽と伝わったのでラジオやテレビで流すなと政府から忠告が入り、ランブルが闇に葬られていきます。

ただそれが伝説となり脈々とアーティストに影響を与えていくランブル。

その後ポップスからロック、パンク、クラブミュージックまで、リンク・レイの作った音楽は影響を与えていったようです。

私もホピ族や、ナバホ族、ズニ族のお祭りに参加した事があるので、ドラムビート(ハートビート)は生で聴きましたが、

そのドラムのリズムは四つ打ちなんです、もしかしたら四つ打ちの根源はインディアンミュージックなんじゃないかと。

 

音楽に国境はないと言われますが差別や迫害は存在します。

アメリカの根本的な矛盾にも気が付く映画で、インディアンの置かれていた状況を繊細に話している映画でした。

 

アイデンティティーが弱まっていると感じるいま、どういう生き方や思想を持って死ぬのか?

音楽で問われているような映画でした。

いつかネット配信が始まれば是非見て欲しい映画です。

 

 

 

 

●Profile

 

 

YANCHI

 

2001年に福岡でダンス活動を開始。福岡出身のダンサー。

ハウスダンスを軸にエモーショナルなグルーヴとエッジの効いたリズム、コンテンポラリーダンスで培った発想が融合したダンススタイルは国内外問わず支持されている。数々のアーティストと共演、制作、CM,MV,舞台など幅広く活動し様々な大会での優勝、代表に選出される。
2016年、ホピ族ルーベン氏の協力のもとインディアンジュエリーショップ「LOLMA」をスタート。パイプセレモニーの儀式を経てインディアンネームを授かる。現在、ダンサーだけに留まらずDJ活動や、数々のイベントをディレクション、オーガナイズするなど、型にハマらないボヘミアンスタイルを開拓中。

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