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【FASHION AS MUSIC】vol.3 “We Margiela” BARNEYS NEW YORK 中野光章によるファッションコラム
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2019.02.18
こんにちは。
今日は私の好きなデザイナーの1人、マルジェラについて書きます。
2/8よりBunkamuraル・シネマにて上映している映画『We Margiela』はご覧になられましたか?
2009年にファッションの表舞台から突如姿を消したデザイナーについて、身近な関係者へのインタビューによって構成されたドキュメンタリー。
ファッション好きは必見の映画です。
公開前にはバーニーズ ニューヨーク新宿店でのウィンドウディスプレイの展開や、当社の顧客向けに特別試写会を実施しました。昔からのマルジェラファンの1人としては、とても興味深く映画の世界を感じました。
バーニーズ ニューヨーク新宿店のウィンドウディスプレイ
(2/24まで展示中)
彼は決して孤高のデザイナーではなく、インタビューでは常に「We=私たち」というスタンスで答えていました。
メディアに出ない匿名性がブランドタグにも表れていて、最初ウィメンズしか展開していなかったときに買ったVネックニットに付いた真っ白なタグを見て驚いたのを覚えています。
元々ある、当たり前のバランスだと感じていた服の形を再定義したり、わざとぺしゃんこにプレスしたジャケットにできた皺を楽しんだり。ファッションって本当に自由なんだなと、マルジェラのコレクションを通じて学びました。
メンズコレクションの「10」がいよいよデビューするという時はめちゃめちゃ興奮しました。ファーストシーズンから現在まで、マルジェラのメンズウェアのアイコンになっている5ジップのライダースジャケット。
当時新宿店のデザイナーズフロアにいた私は、ファーストシーズンは黒を、セカンドシーズンは赤のライダースジャケットを買いました。
まだ脇下に通気性も考えられた楕円形の穴が空いていたり
ハードなレザーを使用していました。
プライスは確か165,000円。
黒は当時のバイヤーに頼み込み、買付の無かった50サイズを入れて貰い
赤は日本に48サイズまでしか入荷がなくて少しダイエットして着ていました。
当時は自分にとってとても高価で気合い入れて買っていましたが、
今のプライスはほとんど倍になっているので
悩んで買わなかった茶色とネイビーも買えば良かったな。。と後悔したのを覚えています。
メンズファッションは、最近になって良い意味で女性化してきてアイテムの選択肢が増えましたが、
マルジェラのメンズは男性のためのワードローブとしているだけあり基本ブレない構成です。
良い企画やモチーフは、素材や色を変えて、マイナーチェンジを繰り返しながら
継続してコレクションに入れていく。
デザイナーが変わる度、またはシーズン毎に舵を切りすぎてブランドの
アイデンティティがわかりにくくなった多くのブランドと違い
マルジェラにはいつでも私たちを迎え入れてくれる懐の深さを感じています。
メゾン マルジェラの現デザイナー、ジョン・ガリアーノはマルタン・マルジェラ氏への敬意を常に表していて、それをプロダクトに落とし込んでいます。
自身の持ち味の少しの毒と美しいシルエットを感じさせながらしっかりマルジェラであること。
ガリアーノになってからもセールスが常に好調なのは、そんなガリアーノの控えめな主張と普遍性が程よくブレンドされているからだと思います。
このコラムを書いていたら、またマルジェラの新作をチェックしたくなりました。
既に一番人気と言えるカラーとラペルがない、ミニマリストブレザー(ジャケット)のシルエットの美しさをバーニーズ ニューヨークでぜひお確かめください。
それでは。
Profile
中野光章
バーニーズ ニューヨーク セールスプロモーション チーフマネージャー
大学卒業後、バーニーズ ジャパン入社。新宿店デザイナーズフロアのマネージャーを経て、2003年よりPRマネージャーとして活動、現在に至る。インディアンジュエリーとヴィンテージウェアに特に造詣が深く、ファッション誌の企画構成も手掛けている。座右の銘は「倒れる時は前のめり」と「インディアンジュエリーは出逢った時が最安値」。
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